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「理解、していなかったんです」
つぅとこぼれた涙を拭うこともせずに、満君が呟く。
その横顔は魂が抜けているような、どこか遠くを見ているような様子だった。
「先輩から早川さんの話を聞いて、何か助けになればって、そう思ったけど……わかっていなかった」
どうして満君が泣いているのか。理解していなかったとはどういうことなのか。
わからないことだらけで、そもそも理解できていないのは私の方じゃないのかなんて口を挟むことすらできない。
「軽い気持ちで、今日だって……少しずつなら大丈夫なんじゃないかって」
あぁ、わかった。
唇を噛み締める満君が涙を流した理由が。
きっと優しい満君は、角田さんのように私も救おうとしてくれたんだ。
だけど、私が思ったより面倒くさかったからきっと後悔して——
「早川さんのことが知りたかったから、もっと早川さんと近づきたかったから……」
「……え？」
「俺、早川さんに恋をしたんです」
顔を上げた濡れた瞳と、静かに視線が交わった。
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