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「あなた、すごくお肌綺麗ね」
ガタッ
「あ……すみません!」
新しいプロジェクトの打ち合わせの休憩時間。
隣に座っていた女性の手がこちらに伸びて来たのを感じて、とっさに音を立てて椅子から立ち上がった。
幸い周りは騒がしく近くに人はいなかったが、その女性は驚いた様子で目を瞬かせた。
「あらやだ、ごめんなさいね。この職業をしてるとついつい手が伸びちゃって」
初対面の人に向かってなんて無礼をしてしまったんだと必死に謝罪の言葉を探していると、その女性が手を口に当てておどけたポーズをして見せた。確か、自己紹介で角田さんと言っていただろうか。
「え、いえ……今のは私が」
「そぉ?まあいいわ、さっきもみんなの前で言ったけど来週からここにお世話になる角田よ。よろしくね」
やはり角田さんで合っていたかと納得したのもつかの間、間髪を容れずにぐいと顔を覗き込まれた。
「それでお肌だけど、あなたお手入れはどうやって」
「あ、あの!……私は早川と言います。早川香音です。それで、あの、少しいいですか」
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