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ーーー・・・・・・1998年、夏。
地元ローカル新聞に取り上げられたその事故は誌面を飾り、後に全国ニュースとしてテレビで報じられた。
銀色の雨が降り頻る曇天の空。
たった一度のミスがクラッシュを誘発する。
それを物語る様に、現場は凄惨な光景が広がっていた。
・・・辺りには黒々としたオイルの飛沫が跳び散り、焦げ臭い。
アスファルトにはブラックマーク(タイヤ痕)が見事なまでの螺旋を描いて刻まれている。
柱の曲がった信号機は、もう二度と青や赤、黄色の鮮やかな光りを灯す事は二度と無い。
その信号機の下に、一台の車の残骸が横たわるように雨水の雫に叩かれながら、湿った空気を纏って佇む。
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