友人に聞いた話

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 ガヤガヤとうるさい居酒屋で、その半個室にだけ沈黙が訪れる。  あゆみ(仮称)が怒って帰ってしまう展開を予想していた友人の背後で、口を開いたのはあゆみ(仮称)だった。 「……いいか、落ち着いて聞けよ」 「え? ……あ、うん」 「もしたけし(仮名)が女だったとして、自分みたいなキモヲタにコクられたら付き合う?」 「……あぁそれは……いや、でも俺ら仲良いし……」 「友達としてな? 話合うし。たださ、付き合ったらキスされたりセックスされたりすんだぞ? たけし(仮名)にだぞ? 付き合えたとしたら絶対するだろ? セックス」 「……嫌がるなら……しない」 「バカお前よく考えろ。想像してみろ。生まれて初めて彼女できたんだぞ?」 「……あ……そうか……やる」 「だろ?」 「うん、たぶんやりまくる」 「そうだろ? お前自分にやりまくられるところ想像してみろ」 「ああ……でも、女って超気持ちいいって言うし」 「しらねーよ! やったことねーし! だからやなの」  また沈黙が落ちる。  焼酎を飲みほした友人は、液晶パネルでおかわりとつまみを注文して聞き耳を立てる。  トイレにこもっている友人のツレは、全く出てくる様子もなかった。
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