1人が本棚に入れています
本棚に追加
ガヤガヤとうるさい居酒屋で、その半個室にだけ沈黙が訪れる。
あゆみ(仮称)が怒って帰ってしまう展開を予想していた友人の背後で、口を開いたのはあゆみ(仮称)だった。
「……いいか、落ち着いて聞けよ」
「え? ……あ、うん」
「もしたけし(仮名)が女だったとして、自分みたいなキモヲタにコクられたら付き合う?」
「……あぁそれは……いや、でも俺ら仲良いし……」
「友達としてな? 話合うし。たださ、付き合ったらキスされたりセックスされたりすんだぞ? たけし(仮名)にだぞ? 付き合えたとしたら絶対するだろ? セックス」
「……嫌がるなら……しない」
「バカお前よく考えろ。想像してみろ。生まれて初めて彼女できたんだぞ?」
「……あ……そうか……やる」
「だろ?」
「うん、たぶんやりまくる」
「そうだろ? お前自分にやりまくられるところ想像してみろ」
「ああ……でも、女って超気持ちいいって言うし」
「しらねーよ! やったことねーし! だからやなの」
また沈黙が落ちる。
焼酎を飲みほした友人は、液晶パネルでおかわりとつまみを注文して聞き耳を立てる。
トイレにこもっている友人のツレは、全く出てくる様子もなかった。
最初のコメントを投稿しよう!