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「……あやまって」
「え?」
「あやまってくれないと、もう友達としても無理」
「え、あ……ごめん」
「何が?」
「え、あの、付き合ってとか言ってごめん」
「違うだろ?」
「え?」
「キモヲタなのに勘違いして付き合おうとか言ってしまって申し訳ありませんでした、だろ?」
「キモヲタなのに勘違いして付き合おうとか言ってしまって申し訳ありませんでした」
「たけし(仮称)は自分がキモいって事をちゃんと認識した方がいい」
「はい」
「友達だって私しかいないだろ?」
「え、いや、何人か居る――」
「女友達」
「あ、居ません」
「あきらめろ。お前無理だから、彼女とか」
「でも」
「無理だから、私ですら無理なんだから、絶対無理だから」
やってきた店員から焼酎のおかわりを受け取り、ちらりと木の柵から隣を覗くと、たけし(仮称)は両手をまっすぐに膝に付き、ぼたぼたと涙を流し、息を殺して嗚咽を漏らしていた。
それを見下ろしながらぐいっとジョッキを空けたあゆみ(仮称)は、小さくげっぷをしてため息をつく。
がちゃん! と、テーブルが音をたて、たけし(仮称)は「いてっ」と膝を抱いた。
どうやらテーブルの下であゆみ(仮称)がスネを蹴ったらしい。
たけし(仮称)は我慢の限界のように、「ぐふぅ~」と声を出して泣き始めた。
「泣くな!」
「ぐぅ~……だって……うぅ~」
何度か「黙れ」「だって」「泣くな」「だって」を繰り返していたが、たけし(仮称)はしゃくりあげるように泣き続ける。
最後に諦めたように、もう一度ため息を付いたあゆみ(仮称)は、冷めたポテトをゆっくり頬張り、ごくんと飲み干した。
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