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事の始まりは、やはり北風だった。
一際強く、ひゅるる…っ、と吹いた風が少年を急かす。
「うわ、寒…っ! …しゃーない、走るか…」
手元の袋を気にしつつ走り出した少年は
住宅街の角を曲がりかけ、
「ぅわたっ!?たっ、てぁあ!!」
急に現れた人影に驚き、衝突を避けようとするあまり奇声とも悲鳴ともつかぬ声をあげて跳んだ先には、枯れ木の壁が。
そのまま、ばきばき、どざぁ…と少々派手な音を立てながら、生け垣に突っ込んだ。
石の壁じゃなくて本当に良かった。他人様の領域は荒らしてしまったけど。
「ってぇ…
ぁ…大丈夫でした、か…、…?」
飛び出してきた影に気遣い、小枝や枯れ葉だらけの頭で生け垣の中から声を掛けた少年の、
目に、映ったモノは、
「…っ、…? ……??」
オロオロとこちらの様子を窺う…
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