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「……変態、さん…ですかね…」
黒をベースに赤を散らした、まさに"中世の吸血鬼"を彷彿とさせる出で立ちのーー
ーー男だった。
「変…!?、 変態とは失礼な!
我はそのような類の輩ではない!………筈だ。」
ヒールのやや高めな革製ブーツは濡れ羽色で、すねまですっぽり覆うほど。
細身なレザーパンツも黒く、彼の整ったスタイルを強調している。
強いアクセントとなる真紅のベストは黒で縁取りされていて、品よく金の刺繍まで施され。
そこからすらりと伸びた腕に纏う白いブラウスは、腰辺りまで伸ばされた銀髪と相まって、下半身とのコントラストに映えている。
その首元を飾る純白の波は、暗紅色の紐のようなリボンで纏められていて。
しかし最も目を引くのは、赤黒い裏地の大きな黒マントだ。これが一番"吸血鬼らしさ"を醸し出していると言っても良いだろう。
他にも銀の装飾品が至る所に飾られ、赤や金色もちらちらと在るが、決して下品にはなっていない。
パッと見は、この住宅街では少々奇抜で
中世欧国では結構まともな格好をした変人、となるが
「…こんな所で…何してらっしゃるんですか…?」
「…!! 何故、我の姿が視えている!?」
少年の訝しげな目を一身に受けるその男、
少年が気付かぬほど僅かではあるが、
文字通り地に足が付いていなかった。
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