1 : きっかけ

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しばらくして、 「…あの、」 「何だ?」 「…帰っていいですか?」 ぶつかりそうになったから、とほんの少しの罪悪感から付いてきてはみたが、正直寒くて帰りたいという少年の本音。 「だ、ダメだ!そなたの話を聞かせて貰わねば!」 「いや、具体的に何を聞き出したいんですか? そこが分からないと話し様がないんですけど…」 「そ、そうだな、えー…、 では…何故、我の姿が視えておるのだ?」 「……はい?」 何を言ってるんだコイツは。 「確かに、こちらにも霊や鬼といったモノが視える者がいる、というのはよく聞く話だが…、我を視たのはそなたが初めてだ」 「あの、ちょっと…待って下さい?」 「む、何だ?」 困惑顔の少年が、男の話を止める。 「精神科ならいいトコ知ってますけど…?」 「我は精神疾患者ではない!」 「あぁ、でも…厨二病とかだったら、治せる人はそうそう居ないですかね…」 「ちゅうに、病…? 我はそのような病など患ってはおらぬぞ!」 「という訳で、申し訳ありませんがお力にはなれそうにありませんので、失礼致します。」 「我の話を聞けぇ!!」
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