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しばらくして、
「…あの、」
「何だ?」
「…帰っていいですか?」
ぶつかりそうになったから、とほんの少しの罪悪感から付いてきてはみたが、正直寒くて帰りたいという少年の本音。
「だ、ダメだ!そなたの話を聞かせて貰わねば!」
「いや、具体的に何を聞き出したいんですか?
そこが分からないと話し様がないんですけど…」
「そ、そうだな、えー…、
では…何故、我の姿が視えておるのだ?」
「……はい?」
何を言ってるんだコイツは。
「確かに、こちらにも霊や鬼といったモノが視える者がいる、というのはよく聞く話だが…、我を視たのはそなたが初めてだ」
「あの、ちょっと…待って下さい?」
「む、何だ?」
困惑顔の少年が、男の話を止める。
「精神科ならいいトコ知ってますけど…?」
「我は精神疾患者ではない!」
「あぁ、でも…厨二病とかだったら、治せる人はそうそう居ないですかね…」
「ちゅうに、病…?
我はそのような病など患ってはおらぬぞ!」
「という訳で、申し訳ありませんがお力にはなれそうにありませんので、失礼致します。」
「我の話を聞けぇ!!」
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