3.百合菜

1/1
38人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ

3.百合菜

さすが、業界トップのIT企業。英語ぐらい誰でも読み書きできるということなんだ。 「松岡君ってみんなとつるむの好きじゃないんだ・・・」 百合菜は、少し悪戯っぽく目を細めて俺の顔を覗き込んだ。 「まぁいつまでも学生なわけじゃないし。大体、この研修だって、新入社員研修って言う名のふるい落としみたいなもんだろう。 会社に入るまでは一緒でも、すでに将来に向けたスタートは切られているってことだ」 「出世レースの?」 「まぁね。出世だけが人生じゃないけどね。」 「ふぅ~ん。確かに研修中、何度か試験とか、ディスカッションとかディベートとかするじゃない?あれで適正を見て、 最初の勤務地とか事業部とか振り分けているみたいだしね。」 「松川さんだっけ?」 「違うよ。松井百合菜」 「ごめん、ごめん。俺、人の名前を覚えるのが、苦手で」 「人の名前を覚えるのが、苦手だったら営業マンは勤まらないよ。それに総務、人事系も無理!」 「いや~仕事になればきちんとできるよ。」 「さぁどうだかwww私はね、この会社に入ったのは、きちんと女性でもやれば認めてくれるから。 私は、まず、管理者を部下に持つ管理者になる。」 「ってことは部長か」 「まぁね。とりあえず・・・だけど」 というと百合菜は軽くウィンクをしてみせた。 **4.晴美へ続く**
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!