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4.晴美
研修も、もう後残すところ2日だった。俺達のクラスも他のクラス同様に、最終日前日の夜、研修の打ち上げ会をやろうということになった。
幹事は、くじ引きで決めた。みんなレポートやら、調べ物ものやらで忙しいからだ。
昔からクジ運の悪かった、俺は、うちのクラスで一番人気の女性(みんなの噂だと)小泉晴美と一緒に幹事をすることになった。
「ねぇ・・松岡君。お店なんだけど」
今、俺は、研修所の喫茶室で、人気NO.1女、晴美と向き合って、明日の打ち上げ会について話あっているところだった。
晴美は、少し顔を斜めにしながら、指先で髪をいじり、上目遣いで俺を見た。
(俺、苦手なんだよな。こういうタイプ)
「小泉さんは、どういったところがいい?」
「う~ん。とりあえず、一次会は、居酒屋で、二次会は、カラオケボックスって言うのはどうかな?」
「いいけど。小泉さん、どこかいいお店知ってる?」
「晴美、この辺よくわかんないから、今日一緒に下見行かない?」
「え・・・?」
ピンクのブラウスを少し多めにボタンをあけているせいか、晴美に視線を合わせると、胸の谷間が目に入ってしまう。
(だいたい、この年になって自分のこと名前で呼ぶかよ!俺はちょっと侮蔑のまなざしで眺める)
「だって~これからもどこで同期の人たちと一緒に仕事するかわからないじゃない?それには、
最初にこうやって知り合った同期と仲良くしておきたいでしょ。」
「でも、だからって下見は、必要ないんじゃない?ネットで人数、希望時間いれればすぐに予約できるよ。」
「松岡君、知らないんだ~明日は、うちの1組~5組まで打ち上げやるでしょ。そこに人事部長とか人事課長とか
みんな順番に回って来るんだよ。少しでも、長く引き止めて、アピールしなきゃね♪」
というと両手を寄せてことさら胸の谷間を強調した。
「だから・・・」
**5. 香水につづく**
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