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「ふーん、いらっしゃい。
で、何で入んないの、やめる?」
「いや、やめないよ。
せっかく来たんだし」
「そ、じゃあどうぞ。
法律の方? 探偵の方?」
僕は少年の案内で、事務所に足を踏み入れた。
「えっと、探偵の方」
「お客さんだよオヤジ、約束してたんだろ。
あ、アンタはそこのソファに座ってて」
少年は窓際のデスクに居た男性に声をかけて、僕に顎でソファを指した。
彼は、関係者の子供という事かな。
しかし、ここの客はいつもこういう扱いを受けるんだろうか。
来る所、間違えたかな?
僕は、そう思いながら言われた通りソファに腰掛けた。
「おかえりなさい、もしかしてお友達?
今、お客さんって言ってなかった?」
たぶん給湯室と書かれた小部屋から出てきたんだろう女性が、少年に微笑みかけた。
トゲトゲしかった彼は、雰囲気がコロッと柔らかく変わって彼女に笑顔を向けた。
「ただいま、青子さん。
お客さんだよ、オヤジのね。
約束してたってさ」
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