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「あ、いえいえ、気にしないでください。
あの、案内してもらったし、取り次いでくれたし。
もう、ホントに」
年上の人に、こんなに潔く謝られるとこちらが恐縮してしまう。
僕の言葉に白田さんは、人好きのする笑顔を見せた。
僕は何となく、あの返信メールはこの人が書いたんだろうと思った。
英太郎さんに紹介されたのもあるけど、僕はあのメールでここに決めた。
少年が少しくらい生意気でも、この人に相談しようと改めて思った。
「ありがとうございます。
では早速ですが相談内容の確認と、こちらの」
白田さんが言い終わらないうちに、ドアを開ける音がした。
部屋に入ってきたのは、さっきの少年だった。
「失礼しまぁす、お茶でぇす。
あ、青子さんは座ってていいから。
お茶、冷たいのでいいよね」
少年は青子さんに笑いかけると、僕の前にグラスを置きながら言った。
白田さんが、少しガックリしながら軽く溜め息をついていた。
「何だよ、暑いんだから冷たいのがいいだろ。
アンタ……赤木さんも、そう思うよね」
「えっ」
「外暑かったし、まだ汗ひいてないじゃん。
冷たいのがいいだろ、ね」
「あぁ、はい」
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