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僕が少年に気圧され気味に答えると、白田さんが困り顔になった。
「すみません、コイツが失礼な時は遠慮なく叱ってやってください。
お前も、どうして赤木さんにはそうなんだ?」
少年はテーブルにお茶を4つ置くと白田さんの問いには答えず、青子さんの隣に座った。
「こら実、何で座ってるんだ。
これから仕事だから、速やかに退出するように」
白田さんの注意を無視して、少年……実君は僕に挑戦的な笑顔を向けた。
「この事務所も有名になったもんだよなぁ、現役アイドルが相談に来るなんて。
だよね」
バレている可能性を考えなくもなかった。
相談メールで名前も知られているし、本題に入る時は言うつもりだった。
でも本当に売れてないし人気もないし、気付かれないと思っていた。
実際、外を歩いていても騒がれたためしがない。
「実……お前な、だから失礼だろう」
白田さんが渋い顔で実君を叱る横で、青子さんは目を見開いたあと申し訳なさそうな顔になっている。
「なぁんだオヤジ、知ってたんだ。
自分の不幸を売りにして、たまーにテレビに出てるアイドルだよね。
その割に売れてないけど」
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