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「もっ、実君たら」
青子さんが、彼をたしなめてくれている。
けど事実とはいえ、実君の言葉に僕は少しへこんだ。
「青子サン悪い、ソイツを会議室から出してくれないか。
仕事にならない」
「はい、ほら実君」
白田さんに言われて、青子さんが彼の腕を取った。
「アンタのやってる事がさ、気にくわないんだよね。
アレって結局、何目? 人気も出てないし効果ないっぽいじゃん。
あ、言っとくけど、やってる事がであってアンタ自身がどうとかじゃないから」
特に嫌がる風でもなく、実君は彼女に連れて行かれながら言った。
パタンとドアが閉まり、会議室の中はいたたまれない空気で満たされた。
「はぁ……、たびたび失礼しました」
「あはは……。
いえ、まぁ、本当の事ですから。
それに言わなくても気付いてもらえたの、彼が初めてかも」
白田さんと僕は、あいまいな笑顔になっていた。
「ていうか、もしかして白田さんも気付いてました?」
「いや、まぁ、一応」
「そうですか、今日は珍しいなぁ。
あの、改めまして“赤木正”です。
よろしくお願いします」
僕が頭を下げると、白田さんもまた律儀に頭を下げていた。
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