25人が本棚に入れています
本棚に追加
白田さんに渡された紙に必要事項を記入しながら、僕は話し始めた。
それは一つ一つ、例えば苗字を書いてはポツリと話し、名前を書いてはポツリと話すという感じだった。
彼は急かすでもなく、そんな僕のペースに合わせてくれているようだった。
「実君が言った通り、僕は不幸ネタでテレビに……。
あの、見た事ありますか?」
「あぁ、はい、何度か。
確か小さい頃に、ご両親が行方不明になったんですよね。
それで今回のご相談は人探し、つまりご両親を探すという事でよろしいでしょうか」
白田さんは僕の両親が行方不明という言い方をしてくれたけど、結局は僕が置き去りにされたのが事実だ。
そう、いつの間にか僕は独りぼっちだった。
番組で他の出演者から突っ込まれたら、僕は「いえ、両親が行方不明なんです」と返すように決まっている。
「はい、それで見つかったら……って気が早いですよね。
それに生きているかも分からないのに」
「必ず見つけますとは言えませんが、微力を尽くします。
とにかく何でもいいので、ご両親の情報を……。
例えば口癖でも好きな食べ物でも、覚えている事を教えてください」
「両親の情報……。
そうですよね、そりゃそうだ」
最初のコメントを投稿しよう!