不幸ネタ

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白田さんに言われて、僕はその事にやっと思い至った。 何の情報もなく探してくれなんて、無理にも程がある。 でも……。 「あの、じつは大した事は覚えてないんです。 何でだろう、5才くらいだったから少しは覚えていそうなものなんだけど。 親の顔もボンヤリして思い出せないんです」 「そうですか、それは仕方ないですよね。 何か思い出したら、ご連絡ください。 こちらからも定期的に報告します」 「すみません、こんなに少ない情報で無理言って。 あの、ダメだったらダメでいいですから。 そうだ、たぶん僕を保護してくれた所なら親の情報……が、……少しは」 白田さんはメモをとっていたけど、僕が言い淀んで黙ったので心配そうな顔でこちらを見た。 「どうかしましたか? 顔色が良くありませんね、少し休みましょうか」 彼の言葉で、僕はそんなに顔色が悪くなっているのかと気が付いた。 「いえ、具合が悪い訳じゃないんです、ちょっと仕事の疲れが……。 考えたら、僕は親の名前くらいしか自分で調べてなかった。 これって、変ですよね」 そう言って、僕は白田さんに視線を移した。 「どうしたら正解かなんて模範(もはん)解答(かいとう)もないし、誰かが決め付ける事でもありませんから。 それに赤木さんは今、ここに居るじゃないですか」 彼は、真剣に返してくれた。
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