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「じつは、その……僕がここに来たのは……引っ込みがつかなくなったってのが大きいっていうか。
今お世話になっている事務所の社長とか緑……仕事の相棒なんですけど、周りの人の方が心配してくれて。
その人達が居なかったら、僕は親を探すなんて少しも考えなかったと思うんです」
何でだろう、白田さんの態度というか存在に僕は何故だか安心していた。
だからなのか、たぶん僕は変な事を言ってしまっていると思う。
「僕ってきっと、冷たい人なのかもしれない。
すみません、こんな事言われても困りますよね。
何か白田さんって安心感があるというか話しやすいっていうか、ついつい。
あはは……」
僕が愛想笑いをすると、彼はニコッと笑顔を見せた。
「そう言ってもらえて、嬉しいですね。
それに、こんな商売をしているのに私も自分の親は探してません。
冷たいも冷たくないもない、というか人それぞれですから」
「えっ、え、あの……」
僕は、驚きのまま白田さんを見つめた。
「私も小さな頃から親とは別に生きてきたので。
この事が安心の原因かどうかは分かりませんが、遠慮なく何でも話してください」
彼は笑顔だった。
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