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会議室から出ると、実君が不自然なくらいの笑顔を僕に向けてきた。
最初に見た時から思っていたけど、彼はなかなかの美少年だ。
笑顔だと特にそう思う。
「お疲れ様ー、こちらにどうぞ」
ここに来た時には顎で座るように促されたソファに、今度はニコヤカに案内された。
先程の事もあるし、何だか不気味だ。
僕が座ると、別の少年がお茶が入っているであろうグラスを目の前に置いた。
「ごゆっくり」
「ありがとう。
でも、あの、さっきもいただいたのでお構いなく」
僕が言うと、少年は実君をジロリと見た。
「いいじゃん、アイドルにお茶を出せるって喜んでたじゃん。
まぁ、あんま売れてないから言われないと分かんないアイドルだけどさ。
あ、コレはオヤジの助手の志郎」
実君は僕の向かいのソファに座りながら、お茶を運んでくれた少年見て言った。
「コレって何だよ、何で高校生に顎で紹介されなくちゃいけないんだよ。
生意気だぞ、まったく」
「ふん、アイドルが来たからって仕事ふけるヤツなんてコレで充分だよ。
それでホントに成人かよ、責任感ってのあるわけ?」
「違いますー、ちょっと忘れ物を取りに来ただけですー、ふけてませんー。
ていうか、お客さんの情報を早速電話してくんなよな」
「仕事ほっぽりだして、ダッシュで戻ったクセに。
それにさぁ、志郎はすぐバラしすぎ」
「それはこっちのセリフだろっ」
なるほど少年は“しろう”という名前で、じつは成人らしい。
という事はハタチくらいだろうか、高校生かと思った。
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