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「気付かないうちに冷えてるかもしれないだろ。
どれ、手は……冷えてないけど。
とりあえず、今あったかい飲み物買ってくるから」
サッサと楽屋を出て行こうとすると、緑がガシッと僕の腕を掴んで座らせた。
「平気だってば。
たっちゃんこそ、仕事したんだからゆっくりしろって」
緑はそう言うと、僕の私服をテーブルにバサッと置いて衣装に手をかけた。
着替えを手伝ってくれるらしい。
「いいってんな事しなくても、ってかさせられないって。
それに汗臭いから」
「どれどれ」
緑は僕に顔を近づけて、ニオイをかいだ。
「やめろって、後悔するってば」
僕は慌てて緑を押しのけたけど、間に合わなかったようだ。
「ハハ、これくらい大丈夫だよ。
だって何か、オレの衣装の方がヤバい気がする……」
「え……、マジで? それ、ホントにヤバいかも。
て、緑こそ座ってろって。
社長の甥っ子に世話やかせるなんて、事務所の皆に叱られる」
「あはは、いつの時代だよ、そんなの関係ないって。
社長の甥なのは仕方ないけど、オレたち相棒だろ。
それにオレは今日マネージャーの代わりとして来たつもりなんだから……て、楽屋で寝てたけど」
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