48人が本棚に入れています
本棚に追加
――ガラ
翌日、昼休み。
今日も保健室の戸を引くと、先輩はいるけど花保ちゃんの姿がなかった。
別棟に教室がある先輩より私の方が来るの遅いって、なんか悔しい。
窓際に椅子を置いてそこに座った先輩は、窓の桟に腕を乗せて1人外を眺めてる。
「風花は、先輩に挨拶も出来ないの?」
洗面台の下から自分の椅子を引っ張り出していると、ふいに声を掛けられた。
顔を上げて、先輩に視線を移す。
先輩は窓の外を向いたまま、私はその後ろ姿を見つめた。
呼び方が、いつもと違うんですけど。
茶色い髪が光に透けて、生温い風がサワサワと揺らしてる。
床に置いた丸椅子を見下ろす私は、暫くそうした後、腰を下ろしてコンビニの袋の中を漁る。
「あ……無視? 無視する? 風花さん。風花ちゃん」
先輩が何か言ってるけど、ガサガサ袋を鳴らしておにぎりを取り出す。
「ふうちゃん」
「え゛」
最初のコメントを投稿しよう!