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――ブーン
古くてうるさい扇風機。
家には私しかいないのに、なんでお前は首を回してるの。
のっそり扇風機に手を伸ばして俯かせると、また畳の上で大の字になる。
1人だと6畳の部屋は広くて、テーブルと収納ケースを置いても手足が伸ばし放題。
夏だから、蝉の鳴き声がするのは仕方ないのだけれど、アパートの外に1本だけある太い木にとまったようで、開けた窓からよく聞こえる。
暑くてすることもないから一眠りしようと思っていたのに、なかなかうるさくて眠れない。
――ミーンミンミンミン
みんみん、蝉は元気だ。
ボーッと何も考えずに、電気から垂れた短い紐を眺める。
扇風機の微風で揺れていて、催眠をかけられている気分。
蝉の鳴き声にも慣れてきた。
うとうと、瞼が下がる。
暑いなー、なんて思いながら、私の意識は薄れていった。
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