05.

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  あの日の夕方は、屋根を強く叩く雨が降っていた。 夏が残る9月の陽はまだ長かったけれど、朝から空にいる分厚い雨雲のせいで、いつもはまだ明るい外もその日は真っ暗だった。 「どこ行くの?」 「お父さんとスーパーに行ってくるね」 「学校で宿題出たんだろ? 風花は家にいて」 いつも仕事の残業で帰りの遅いお父さんがその日は定時で帰ってきて、2人は夕飯の買い出しに行くと言って家を出た。 ――ルルルル リビングのテーブルで床に座って宿題をしていた私は、うたた寝をしてしまった。 鼓膜を揺らす音に瞼を開ける私は、首が痛いと眉を寄せる。 次にボーッとする頭で、耳に届く音の正体を考えた。 スーパーから帰ってきた2人がきっと、手が塞がっているから私に玄関の扉を開けろと言ってるんだ。 何をそんなに買ったの? そんなにインターホンを鳴らさなくても今から開けるよ。 そう、思った。 でも、インターホンにしては長い時間鳴っている。 それに、うちのはこんな音じゃない。 頭を上げると、やっとそれが電話の音だと気付く。
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