06.

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「それも……ピアス?」 声の震えは収まったけど、まだ心臓はドキドキいってる。 「これ、透ピ」 「とーぴ?」 「樹脂で出来てる透明ピアス。親がうるさいから、学校ではこれ付けてんの」 「へ、へぇ」 そんな物もあるんだ。 「セカンドピアス、付けたら見せてね」 怪しい人を見るみたいに上目遣いを向けてゆっくり頷くと、私の耳に予鈴が聞こえる。 「やば、宿題してねーのに」 男子はまたニカッと笑って、自分の席へと戻っていった。 やっぱり、変わった人だなぁ。 貶す笑い方じゃなかった、向けられた目も普通だった。 声を掛けられて心臓が速くなるほど驚いたけど、それ以上に……嬉しい。 いなかったクラスメイトが戻ってきて賑やかになる教室。 いつもはうるさいうるさいと耳を塞ぎたくなるのに、制服のポケットの中で携帯を弄る私は、なんにも気にしていなかった。 “クラスの人に話し掛けられた” 先輩にメールを送ると、“おー、マジか”と、すぐに返事が返ってくる。 「ほら、席着けー」 午後の授業が始まって携帯の電源を切ると、次の休み時間に先輩の返事を見るのが楽しみだった。 授業中、先生の声も弾んで聞こえる。
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