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「先輩、床冷たくないの? 冷え性なのに」
「冬は厳しいねー」
寝転んだ先輩の傍で私は床に膝をついて、目線より少し高い窓の惨に手を乗せて、窓ガラス越しに青い空を見上げる。
“目の前のお祭りが楽しくて、誰も空なんて見上げないよ”
先輩がそう言うから、いつもは開けないカーテンを開けた。
でも窓は、寒いから開けちゃ駄目だって。
秋晴れの空が眩しくて、自然と目を細める。
「先輩」
「んー?」
「友達と、約束してないの?」
「あいつら女いるから。ずりーよね」
ずるい?
「先輩も欲しいって思うんだ、彼女」
「あー……今のはなんて言うか、彼女持ちに“ずるい”って文句たれるのがお決まりの台詞っていうか」
なんだそれ、と空に笑いをこぼす。
「俺はどっちでもいいかなー」
「いてもいなくてもってこと?」
「彼女って名前がなくてもってこと。いて楽だと思える人が傍にいれば、それで。てか、今は風花の傍が居心地いいから」
今だけですか?って笑って聞こうとするけど、遠回しに告白してるみたいに聞こえなくもないから、やめた。
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