07.

6/21
前へ
/21ページ
次へ
「先輩、床冷たくないの? 冷え性なのに」 「冬は厳しいねー」 寝転んだ先輩の傍で私は床に膝をついて、目線より少し高い窓の惨に手を乗せて、窓ガラス越しに青い空を見上げる。 “目の前のお祭りが楽しくて、誰も空なんて見上げないよ” 先輩がそう言うから、いつもは開けないカーテンを開けた。 でも窓は、寒いから開けちゃ駄目だって。 秋晴れの空が眩しくて、自然と目を細める。 「先輩」 「んー?」 「友達と、約束してないの?」 「あいつら女いるから。ずりーよね」 ずるい? 「先輩も欲しいって思うんだ、彼女」 「あー……今のはなんて言うか、彼女持ちに“ずるい”って文句たれるのがお決まりの台詞っていうか」 なんだそれ、と空に笑いをこぼす。 「俺はどっちでもいいかなー」 「いてもいなくてもってこと?」 「彼女って名前がなくてもってこと。いて楽だと思える人が傍にいれば、それで。てか、今は風花の傍が居心地いいから」 今だけですか?って笑って聞こうとするけど、遠回しに告白してるみたいに聞こえなくもないから、やめた。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加