07.

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「私、転勤族の家の娘(コ)だったんだ」 真っ直ぐ空を見つめて静かに話せば、少し間が空いて、先輩から『知ってる』と返事が返ってくる。 「先生に聞いた」 うん、知ってる。 花保ちゃんはきっと、私のことを先輩に話してるんだろうなって気付いてて、それでも私は、自分の口で話したかった。 「中学の頃からみんな、離れたところから私を見るようになった。 私も、どうせすぐに遠くへ行くんだからって、声を掛けようとしなくなったの。 それが……いけなかったんだろうね」 もうずっと思い出すことがなかった記憶を引っ張り出して、オレンジに染まりかけた空に浮かべる。 「うち、両親がいないの」 「……それも知ってる。先生から聞いた」 「交通事故でね。最近、1年前にね。だからもう、転校はしなくていいんだって」 苦しい、体が震える、苦しい。 でも、話したい。 「うん……知ってる」 たまに呼吸を整えると、私が話すペースはゆっくりゆっくりになった。 先輩はずっと聞いてくれて、たまに“知ってる”と落ち着いた声で応えてくれた。
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