07.-2

3/23
前へ
/23ページ
次へ
「花保ちゃんは?」 「ついさっき体育館に行った。薬、飲めって」 夕日が射し込んで明るい天井を見つめる。 「取ってもらってもいいですか?」 重い身体をゆっくりと起こす。 「敬語戻ってる」 少しして間仕切りの間から手が伸びてきて、水が入った湯呑みと薬を受け取る。 「……入っていいのに」 「先生に怒られんのは俺」 手の平に乗せた薬を見つめながら、口を開く。 「ごめんね、先輩」 「……家で寝れてないらしいじゃん。それ飲んだら、少しは眠れるな」 先輩の言葉に目線を上げて、間仕切りのカーテンを見つめる。 え? なんで、眠れるって。 私が飲んでいる抗不安薬は、不安が強い時に飲みなさいと病院の先生から渡されていた。 睡眠時の緊張を穏和することから、睡眠薬として利用されることもあるらしい。 だから、“それ飲んだら”と、先輩の口から出たことにびっくりする。 でも……薬局で買える薬にだって飲めば眠くなるものはあるし。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加