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「花保ちゃんは?」
「ついさっき体育館に行った。薬、飲めって」
夕日が射し込んで明るい天井を見つめる。
「取ってもらってもいいですか?」
重い身体をゆっくりと起こす。
「敬語戻ってる」
少しして間仕切りの間から手が伸びてきて、水が入った湯呑みと薬を受け取る。
「……入っていいのに」
「先生に怒られんのは俺」
手の平に乗せた薬を見つめながら、口を開く。
「ごめんね、先輩」
「……家で寝れてないらしいじゃん。それ飲んだら、少しは眠れるな」
先輩の言葉に目線を上げて、間仕切りのカーテンを見つめる。
え? なんで、眠れるって。
私が飲んでいる抗不安薬は、不安が強い時に飲みなさいと病院の先生から渡されていた。
睡眠時の緊張を穏和することから、睡眠薬として利用されることもあるらしい。
だから、“それ飲んだら”と、先輩の口から出たことにびっくりする。
でも……薬局で買える薬にだって飲めば眠くなるものはあるし。
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