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――違う日。
学校の帰り道、手を繋いで歩いていると先輩がなんか変。
さっきからチラチラ私の顔を見ては、目が合うとため息を吐いた。
「なに……?」
「あのさぁ」
「はい」
そっちの手を首の根元に回して、あー、と曇り空を仰ぐ。
「どうしたの?」
「女ってさ、苗字変わるじゃんか」
予想もしてなかった言葉に、私はキョトンと先輩を見上げる。
苗字? なんの話。
「でもお前、内宮じゃん」
「はぁ」
「俺も、内宮じゃん」
はぁ、と私は同じ返事をして先輩の横顔から目を離さないでいると、ピアス穴がたくさん開いている先輩の耳が赤くなる。
いくら寒いからって、それが理由にならないくらい赤くなる。
「変わんねーじゃんか」
何が言いたいのか分からなくて焦れったさを覚える私は、『先輩』と、大きな口を開ける。
「じゃんじゃんじゃんじゃん、さっきから何が言いたいの」
「だから、お前は気にしないのかなって」
だから、
「何がですか!?」
「なんでイラついてんの! もしかして生、」
「ば、馬鹿。変態、無神経!」
「あー、グサグサ刺さりました。先輩、心に傷を負いました」
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