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薄い布団を胸まで掛けて横を向く俺は、風花の足の上に自分の片足を乗せる。
「風花……暑い」
「なら、足退けたらいいのに」
豆電球のオレンジの明かりに照らされた、風花の横顔。
口の端を広げて笑ってる。
「晴香先輩、明日の朝ごはんパンでいい?」
「え、作ってくれんの?」
「パン焼くだけ」
「十分」
「バターも塗るよ」
「ご馳走じゃん」
――クスクス
薄暗い部屋で横になって話をしていると、自然と声も小さくなって、風花の高くて柔らかい声が心地よく鼓膜に響く。
こうして夜も一緒なら、次の日起きた時の話も出来るんだな――。
「風花」
「うん」
「そろそろ、“先輩”はやめようよ」
「……」
「やめなかったらチューする」
カバッと勢い良く布団が捲られて、上体を起こした風花の背中を見上げる。
「風花さーん……扇風機の風がこないんですけど」
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