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「…再……婚?」
普段と変わらない朝食の席で、思いも寄らない母からの宣言……
見たこともない程……頬を赤らめ……恥ずかしそうにする母親の態度に……それが事実であることを理解する。
俺が小さい頃に離婚してから、女手一つでここまで育ててくれた。
だから……幸せになれるなら、俺が反対する理由なんてない。
「…おめでとう!良かったじゃん!」
俺の実の父親には……泣かされてばかりで……とても……幸せな結婚生活ではなかった母親が、もう一度誰かと、一緒に生きる道を選んだのなら……心から喜べる。
「…それでね……本当は、子供たちが高校卒業してから、入籍しようと思ってたんだけど……」
『子供たち』…相手にも子供がいるってことか……
「大地さんの急な転勤が決まって……あ、アメリカなんだけど……その……一緒に来て欲しいって言われて……それなら入籍もしようかって話になってね……」
「……アメリカか……遠いな……」
俺の呟きに、母親が申し訳ないという顔をする。
「……子供達には選んでもらおうって……大地さんと話し合って……蒼……お母さんと一緒に大地さんに付いてく?お母さんも、蒼と離れるのは寂しいし……どう?」
17歳にもなるのに……新婚生活を邪魔する存在には、なりたくない……
「良いよ、俺のことは心配しないで……付いて行きなよ……俺は日本に残る……もう少しで北高春祭だし……学校も辞めたくないしさ…」
「……そう……蒼もなのね……大地さんの息子さんの大和くんも、日本に残るって言ってたみたいなの……未成年のふたりを置いてくのは、心配だわ……」
『大地さんの息子さんの大和くんも』
その言葉が、ずっと頭の中を駆け回る。
「…母さん……大地さんの……姓って……何?」
「…え…?…あ、言い忘れてたわね……桐生よ…桐生 大地さん」
……マジ……かよ……
「…確か…大和くんも、蒼と同じ北高校だったはずよ…」
…そんでもって、2年になってすぐのクラス替えで、同じクラスにもなった。
……まさか……俺が最も大嫌いな桐生 大和……の父親が……母親の再婚相手とは……
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