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アイツがそうだからって……父親も節操なしと、決め付けるのは早い……
「……お母さんね……最初は昔のことがあったから……大地さんの気持ち……素直に受け取れなかったの……何度も断ったのに……何度もアプローチしてくれて……最終的には……この人ならって……思わせてくれたの……蒼……お母さん……幸せなっても……いい?」
今の話を聴いて……胸を撫で下ろす。桐生と父親は、違うのだと……
「…いいよ!良いに決まってる!……ただ…さ……俺……このまま、結城の姓でいていい?……それから……我儘で悪いけど…俺ひとりでこの部屋に住みたいんだけど……経済的に無理だって言うなら、学校の寮に入るし……」
……たとえ、親同士が結婚しても……極力、アイツとは接触もしたくなければ、接点も持ちたくない。
今のままで……ただ、クラスが一緒だというだけの存在でいたい……
アイツが目の端に入るだけで……ムカムカする。
あんな奴と……兄弟になるなんて、有り得ない!
それがクリア出来るなら……母さんの再婚に、何も反対することはないんだ。
「…大地さんは、日本に残るなら…ふたり一緒に住んだらどうかって、言ってたけど……」
いやいやいやいや……ないっ!絶対に嫌だっ!
「…き…気持ちだけで……」
「…蒼がそう言うなら、構わないけど……ご飯……ちゃんと食べてね……蒼、掃除や洗濯は得意だけど……炊事だけは……」
…そこを付かれると、弱いけど……
「大丈夫っ!何とかするし、ちゃんと食べるから!それより、いつアメリカに行くの?」
こういう場合は、話題を変えるのが一番だ。
「2週間後よ……そうそう!今日の夜は、大地さんと大和くんと食事を予定してるの!蒼、今日は早く帰って来てね!」
……顔合わせって、ことか……
それさえ、本当は嫌だ……
嫌だけど、母さんの手前……本音は言えない……
「…分かった…」
今日を乗り越えれば…いい……
そう思うも……憂鬱な気分は晴れないまま……学校に登校することになる。
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