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食べ終わったグラスを、トレイに置く……と、同時に……桐生がベットから下りて、俺の横に座る。
腕と腕が触れて、体温を感じる距離に……
「……結城……もう……良いよね?」
甘さを含む声で、名前を呼ばれ……俺の頬を……桐生の大きい手のひらが包み、桐生の方に顔を向かせられる。
「…夜まで…待ったよ…」
端正な桐生の顔が、俺の顔に近付いてくる。
『夜』というキーワードに、桐生が何をしようとしているのか……瞬時に理解する。
強ばった身体……思わず、静止の声をあげる。
「…ま…待って……」
「駄目……もう待てない……待たないよ……」
頬に触れる手と、反対の桐生の手が……俺の腰に回り、上体を引き寄せられてすぐ……俺の唇に……桐生の唇が重なる……
…………マ…ジで………?
マジで……俺……桐生と……
キス……してる……
桐生ほど……人数や回数は多くなくとも……キスの経験がない訳じゃないから……唇が柔らかいものだってこと……好きな相手とのキスなら……意味があって……甘く痺れるのも……知ってる……
でも……このキスは……
桐生が勝手に決めた、言わば……
『罰ゲーム』のようなもの……
意味なんかない……
……ないのに……
何で……俺は……
甘い痺れを感じるんだ……?
……桐生の心と……俺の心の温度差に気付く前に……早く……終われっ!……
数分の……ただ触れるだけのキス……
桐生が唇を離した……
……終わっ…たぁ……
そう思って、安堵して、溜め息を洩らした束の間……
「…ンッ!…んんっ!…んっ…」
首の角度を変えた桐生に、また唇を塞がれた。
今度は……重なるだけじゃなく……深い……キス……
唇の隙間から、ぬるりと入り込んだ桐生の舌が……俺の口内を暴れ回る……
何もかも……奪われてしまうような……激しいキス……
……思考が停止して……
甘い痺れを感じながら……桐生のキスに……落ちてく……
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