第3章 迷走する気持ち

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食べ終わったグラスを、トレイに置く……と、同時に……桐生がベットから下りて、俺の横に座る。 腕と腕が触れて、体温を感じる距離に…… 「……結城……もう……良いよね?」 甘さを含む声で、名前を呼ばれ……俺の頬を……桐生の大きい手のひらが包み、桐生の方に顔を向かせられる。 「…夜まで…待ったよ…」 端正な桐生の顔が、俺の顔に近付いてくる。 『夜』というキーワードに、桐生が何をしようとしているのか……瞬時に理解する。 強ばった身体……思わず、静止の声をあげる。 「…ま…待って……」 「駄目……もう待てない……待たないよ……」 頬に触れる手と、反対の桐生の手が……俺の腰に回り、上体を引き寄せられてすぐ……俺の唇に……桐生の唇が重なる…… …………マ…ジで………? マジで……俺……桐生と…… キス……してる…… 桐生ほど……人数や回数は多くなくとも……キスの経験がない訳じゃないから……唇が柔らかいものだってこと……好きな相手とのキスなら……意味があって……甘く痺れるのも……知ってる…… でも……このキスは…… 桐生が勝手に決めた、言わば…… 『罰ゲーム』のようなもの…… 意味なんかない…… ……ないのに…… 何で……俺は…… 甘い痺れを感じるんだ……? ……桐生の心と……俺の心の温度差に気付く前に……早く……終われっ!…… 数分の……ただ触れるだけのキス…… 桐生が唇を離した…… ……終わっ…たぁ…… そう思って、安堵して、溜め息を洩らした束の間…… 「…ンッ!…んんっ!…んっ…」 首の角度を変えた桐生に、また唇を塞がれた。 今度は……重なるだけじゃなく……深い……キス…… 唇の隙間から、ぬるりと入り込んだ桐生の舌が……俺の口内を暴れ回る…… 何もかも……奪われてしまうような……激しいキス…… ……思考が停止して…… 甘い痺れを感じながら……桐生のキスに……落ちてく……
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