第3章 迷走する気持ち

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意味があるとか、ないとか……そんなことも、考えられなくなるくらい…… 唇に与えられる熱と……絡まる舌…… 飲みきれないふたり分の唾液が、口の端から零れてく…… それさえ……全身を甘く痺れさせる…… 「…んっ…ンッ…」 桐生のキス……気持ちいい…… 桐生の手が……太股に触れて…… ビクンツ!──と、身体が跳ねる……と、同時に……意識が正常運転に戻る。 ……な……何…流されてんの……俺っ……!? いくら……桐生のキスが気持ちいいからって…… ……こんなっ……恋人とするようなキス…… 男同志でするもんじゃ…… ちゅっ……と、リップ音を鳴らして離れる桐生の唇…… 親指で、口の端から流れた唾液を、拭き取る桐生…… 「…ねぇ……試してみない?」 至近距離のまま、問われる。 「…試すって……何を?」 そう聴いた俺の肩を押して……床に組み敷く桐生…… 目の前に、腹立たしいほど、無駄にイケメンの桐生の顔…… ……何だ……これ……? 何で……俺が……押し倒されてるんだ……? 驚きで目を見開いたまま……桐生を見上げることしか出来ない…… 起き上がろうにも、しっかり肩を押さえつけられ……更には俺の上に馬乗りになる桐生…… これじゃ……まるで……『ナニ』する時の体勢…… 「……男同志でも……気持ち良くなれるか……試してみない……?俺と……」 ……やっぱりかーーー! 「…つーか、何で俺で試す必要がある?……やりたいだけなら、いつも侍らしてる女達とやれっ!」 押さえ付けてる手を、何とか退かそうとしても、びくともしない。 「男同志でって言ったでしょう?イイじゃんイイじゃんっ!減るもんじゃないし!」 「…良くねーよっ!」 女とヤリまくって、充分潤ってるだろうーがっ! 大体、男同志ですることでもなければ……気持ちもないのにすることじゃない。 お前みたいに……誰彼構わず、手出す奴には、理解出来ないかもしれないけどっ! その誰彼の中に…… 俺を入れるなーーーー !
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