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「好きでもない癖に……!」
それまで、いつものニヤケ顔でいた桐生の表情が一変する。
一緒に住むことの理由を問いた時よりも……もっと……ずっと
初めて見るくらいの……真剣な顔……
「…好きじゃないって……何で決め付けるの?」
……え……?
桐生の空いた手が……俺の唇を指でなぞる。
「…結城の目に……俺を映したい……他の奴に見せる笑顔を……俺にも向けて欲しい……俺を意識させるのに……他の方法が思い付かないんだ……」
…何……言って……
ゆっくり近付く、桐生の顔……
「……蒼……好きだよ……」
熱を孕む目で見つめられ、再度重なる唇……
意味がないと思ってた……キスに……ちゃんと意味があって……
俺の胸の鼓動も……
意味がある……
「…んっ…んんっ!…ァ…あ…んんっ…」
角度を何度も変えて……奪われる唇……
……嫌じゃない……嫌じゃないけどっ!
──ゲシッ!──
「…っ!…痛ってぇ…!」
膝を曲げて、無防備な桐生の腹に一撃を入れる。
「調子に乗んなっ!」
……んな、簡単に……何もかも信用できるかってのっ!
……出来てとしたって……やっぱり……男同志で……ないだろ……
快感を得たいだけなら……他の女にやればいい……
大体……罰ゲームの流れでキスしてきて……告白されたって……本気かどうか分からない……
「蹴ることないじゃん!」
「うるさいっ!」
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