第3章 迷走する気持ち

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腹を擦り、痛みに悶絶する桐生の下から、抜け出そうとするも…… 俺の肩を押さえたままの、桐生の手に……更に力が入る…… 痛いくらい……じゃなくて、マジで痛いっ! 「…っ!痛い…痛い痛いっ!いい加減に、離せよっ!」 肩を押さえる桐生の手を、両手で掴んで、何とか退かそうとしても……ムカつくくらいビクともしない…… 不意に痛みは消えて、ただ押さえられてるだけになった。 「…蒼……どうしたら信じてくれんの?マジで好きだって言ってるじゃん!」 口調は軽めなのに……俺を見下ろす桐生の目が……真剣で……その目の奥に……灯る赤い火が見えて……熱を感じる…… ……目は……口ほどに物を言う…… その目が……嘘を言ってるとは……思えない…… 思えないけど……だからって……手放しで進んでなんて……いけない…… 俺の中の……桐生への蟠り…… それに……何より……目を背けられないのが…… 男同志ということ…… 世間には……同性愛者なんて……山のようにいるのかもしれないけど…… そういうのを、否定もしないけど…… 2回目の恋が……男なんて……しかも……桐生となんて…… 笑えない冗談だ…… 桐生だって…… 「…桐生、女好きだろっ?選び放題で、ヤリ放題だろ?……そんな男が、男に走る意味が分かんねぇよっ!」 「女が好きって言うより……女の子とエッチするのが好きだっただけ……ぶっちゃけ、エッチが好きなだけ……」 ……ぶっちゃけ過ぎだろ…… エッチって……相手が好きだからしたいんじゃないのか? 好きな相手とだから……何度も肌を重ねたいって……思うものじゃないのか……? 繋がりたいと思うのは……相手が好きだから…… 「…男に走るって言われたら、誤解が生じるよ……男がいいんじゃなくて……俺は蒼がいい……初めて本気で好きになったのが蒼だから……何もかも欲しいと思ったの……蒼だけなんだ……好きになったのが男の蒼だった……それだけだよ……」 ……それだけって…… そんな……何度も好き好き言うなよ…… 顔も身体も……火照り出す…… 桐生に触れられてる……肩が……一番熱い……
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