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休み時間、桐生を中心に女子も男子も、アイツの周りに集まる。
「…なあ、今日金曜日だしさ、皆で遊びに行かねえ?…んで、その後夜通し乱交しちゃったり?」
「えー!やだぁ!エッチするなら、大和としたい!」
……高校生が教室でする話題かよ……類友と言うだけあって、桐生の周りは、頭のネジがぶっ飛んでる馬鹿な奴ばかりだ。
「…あー、魅力的なお誘いだけど……俺今日、大事な予定あるんだよね!遊びも乱交も、また今度誘ってよ!」
そう言った桐生が、一瞬俺の方へ視線を向けていたのを、俺は知らない。
何せ、アイツを俺の視界に入れない為に、俺は徹底している。
聴きたくない桐生達の話も……教室で…大人数で、しかも大声で話すから…自然と耳に入る。
……大事な予定ね……
一応……あんな奴でも、父親のことは大事なんだ……
放課後になり、弓道部に所属している誉を見送り、帰宅しようと教室を出て、玄関に向かう途中……
空き教室の前で……
「…あっ…あっ…あんっ…大和ぉ……激…しいっ!」
「…美紀ちゃんっ……そんなに声出したらっ……誰かにっ……聴かれちゃうよっ…」
……聴かれて困るくらいなら、こんな所でするなっ!
盛りのついた犬共めっ!
……腹の底からムカムカするものが込上げてくる。
……まるで……あの時のことを……思い出したように……
「…アッアッアッ…!大和ぉ…もうっ…!」
──ガンッ!──
「…ひっ!」
女が絶頂を迎えるその時……思い切りドアに蹴りを入れた。
シーンとなる空き教室の中……
俺はそのまま…足音を響かせて、玄関へ向かう。
その瞬間、少しだけスッとした胸……
…けっ……ざまあみろっ!
邪魔してやったぜ!
……って、何やってんの……俺……?
アイツが、何処で、誰と、ナニしてようと……
俺には関係ない……気にする必要もないのに……
桐生と……誰かも分からない女が……半年前のことと……重なった……
腸が煮えくり返るのは……
きっと……そのせい……
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