1:色を持つ者

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 膝を抱えて腰を下ろしたままの自分からはその表情は見えないが、おそらく微笑みながらも哀しそうであることは想像できた。  初めて見る男の姿に戸惑いを覚えながらも、初めて見るからこそいつものような冗談ではない事は理解できる。  否定の声を出さない代わりに、黙って続きを促す。  しばらくの間をあけたあと、聞こえるか聞こえないかの声が男からこぼれた。 「愚かで哀れで難儀な生き物に救われるために、俺たちは仕事を承る……いや、賜るのかもしれないって……時々、思うのさ」
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