8人が本棚に入れています
本棚に追加
膝を抱えて腰を下ろしたままの自分からはその表情は見えないが、おそらく微笑みながらも哀しそうであることは想像できた。
初めて見る男の姿に戸惑いを覚えながらも、初めて見るからこそいつものような冗談ではない事は理解できる。
否定の声を出さない代わりに、黙って続きを促す。
しばらくの間をあけたあと、聞こえるか聞こえないかの声が男からこぼれた。
「愚かで哀れで難儀な生き物に救われるために、俺たちは仕事を承る……いや、賜るのかもしれないって……時々、思うのさ」
最初のコメントを投稿しよう!