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まさか美人金持ちお嬢様に告白されるなんて、しかも公開ちゅーをされるなんて夢にも思っていなかった俺は、告白されたその日一日うんぬん悩み、帰宅後は学校に行きたくないと落ち込み、気鬱な足取りで翌日登校した。竹之内先輩(この頃は俺、苗字呼びだったんだ)が学食堂で公開キスをしてくれたおかげで、すっかり噂の人になっていた俺は正門に入る手前から生徒達の目を惹いていた。
「ねえ、あの人があれでしょ。昨日キスしたっていう」
「違うよ、キスされたんだよ。まさかあの竹之内先輩が学食堂で大胆にキスするなんて信じられないよね。いつもは頼れる姉御さんなのに」
はぁあ、右から左に聞こえてくる女子達の会話に俺は溜息をつく。
もう噂になってらぁ。ははっ、どうしようかねぇ…、こんなにも注目の的になるなんて。キスされた? おう、キスされちまったよ。フッツーにちゅーされちまったよ。……うわぁあぁああ、お、お、思い出すだけで俺は死ねる!
な、何故に俺はキスなんて、しかもその後、男女の営みになんて誘われたのだろうか! いや一種の襲われだろ、あれ! 犯罪っ、犯罪じゃないか! 思い出しては赤面を繰り返す俺は、どうにか視線を振り払って昇降口へ。
ちゃっちゃかと靴を履き替えて、早足で階段・廊下を歩き、そのまま教室に逃げ込む。
「来たか。空、おはよう」
おや、逃げ込んだ教室を間違えてしまったのだろうか。
出入り口で固まってしまった俺は、一呼吸置いて一旦廊下へ。クラスを確認してもう一度、教室を覗き込む。
「何をしているのだ」
俺の席に腰掛けている二年F組の某先輩の姿に俺は絶句。
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