翌日はキス一色

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 肩に掛けていた通学鞄を床に落としてしまった。な、な、なんでこの人が此処にいるんだよ! に、二年でしょ、貴方様!   「た、竹之内先輩」 なんで此処に……、顔を強張らせる俺に対し、彼女はちょっと不機嫌になる。 「何故? そんなの決まっているだろう。所有物の顔を見に来たんだ」  しょ、所有物。  誰が誰の所有物っすか。というか、え、お、俺の顔を見に来た? じゃ、じゃあ、昨日のキス事件は、告白事件やっぱり、マジだったんっすか。   「空。あたしはおはようを言ったぞ?」  あんたは返さないのか? 注意を促されて、俺はついつい「おはようございます」と返す。  挨拶は大事だよな、うん大事、だいじな筈。だけどなんだろう、挨拶をしている場合じゃない気がするぞ。完全に思考停止している俺をよーく観察した後、彼女はクラスメートがいるにも関わらずこうのたまった。 「あんた。見れば見るほど食い甲斐がありそうだな。鳴かせがいがあるというか」 「ちょ、え、せんぱ」 「うーむムラムラするな。ちょっと味見でもするか、空。来い」  あ、味見?!  本能的に身の危険を感じた俺は、頭が取れる勢いで首を左右に振ると、落とした鞄を拾って一目散に教室を逃げ出した。 「あ、こら!」     
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