翌日はキス一色

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 ガッチーンと固まった俺は、目を擦って相手を凝視。  ニコッと綻んでくる竹之内先輩は、飲み終わったカップを俺に差し出してくる。ぎこちなく受け取って、俺は愛想笑い。  手早く水筒に蓋をすると、荷物を持ち、腰を上げてBダッシュ!  嘘だろ、嘘だろ、嘘だろぉおお?! なんで俺の居場所、分かったんだよあの人!      中庭から屋内プールがある校舎まで全力疾走で移動した俺は、ゼァハァッと息をつき、側の木に背中を預ける。  此処まで来れば大丈夫かな。うん、此処は見渡しがいいから竹之内先輩の陰が少しでもチラついたら分かるし。  それにしても、あー、驚いた。  竹之内先輩が俺の隣にいるんだもんな。びっくりし過ぎて心臓が馬鹿みたいに鳴ってやんの。ははっ、ダッセェ。    チョイチョイ。  ふと後ろから肩を突っつかれた。  びくりと背筋を伸ばす俺はヤーな予感がして視線を背後へ。  木の幹からひょっこりと顔を出す竹之内先輩に、「嘘でしょ!」ズザザッと後退り。が、腕を掴まれて、はい巻き戻し。元の位置に戻った俺は、とうとう竹之内先輩に捕まってしまった。 「ふふっ、やっと捕まえた」  がっしり俺の両腕を掴む彼女は、木の幹に俺の体を押し付けて見上げてくる。     
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