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「空。あたしと一緒に、あたし達の小説を作るぞ!」
前略、今日も不況の荒波にもまれている父さん、母さん。大変です。俺の彼女が素っ頓狂なことを言い出しました。
昼休み始まりの合図と共に奇襲をかけてきたあたし様の提案に、「はい?」筆記道具を片付けていた俺は手を止めて目を点にするしかない。
「だからあたし達の小説なのだよ」席の前に立った彼女は意気揚々と目を輝かせ、自分と一緒に小説を作らないかと案を出して来た。ただの小説ならまだしも、このあたし様は“あたし達の小説”とのたまうものだから俺の思考回路はショート寸前である。
鈴理先輩はウェーブのかかった髪を靡かせ、俺の前方の席を勝手に陣取ると、もう準備は整っていると言わんばかりに持っていた大学ノートを見せつけてくる。何の変哲もない大学ノートだ。【攻め女と受け男シリーズ】というタイトルがなければな!
「……俺達の小説って。鈴理先輩、宇津木先輩や川島先輩に俺達の二次創作小説を書いてもらっているじゃないっすか」
ノートを受け取り、中身を開く。
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