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早速一行目に【空の鳴かせ方】という文字を見つけ、顔を引き攣らせてしまった。その下に続く喘ぎ方の擬音語という文面を見るや、俺はペンケースから消しゴムを取り出して思いっきりそこの一面を消す。あたし様の抗議の声なんて一切合財聞こえない!
ぶう、脹れ面を作る彼女は授業中に一生懸命考えたのだぞ、と人の額を叩いてくる。
だったら授業に集中して下さいよ。彼氏の喘ぎ方を一生懸命に考える彼女が何処にいますか! あ、ここにいたか。
「で? 先輩。俺の質問に対する回答は? 貴方は文章を書くことが苦手だから、お友達に小説を書かせているのでしょう?」
「ご尤も。あたしは理系であり、文系ではない。勉学については文字より数字が好きな女なのだよ。しかし物は試し、挑戦することに意義はある。あたし達の関係を製本にし、次の夏コミとやらで売り込んで攻め女と受け男を布教しようと思ってな。目指せ攻め女ジャンル確立なのだよ!」
は?
夏コミ? 製本? 売り込む? 攻め女ジャンル確立? 疑問符いっぱいでワケワカメ!
「待って下さい待って下さい待って下さい。先輩の日本語が全然伝わってきません……まず目的はなんっすか?」
「あたしと空の関係を全国に轟かせる」
頭が痛くなってきた。それはつまり、あれっすか? 攻め女と受け男の関係を指しているんっすか?
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