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多分彼女のことだから自分の持論を小説に練り込んで、あたし様好みの攻め女ジャンルを布教させようとしているのだろう。腹の内は見え見えだ!
教室にいるクラスメートが俺達のやり取りをクスクスと笑っているのにすら鈴理先輩は気付かず、「弁当は持ってきた」今日はここで食事をしようと告げ、持参している紙袋から弁当箱を二つ置く。俺の分まで作ってきてくれているのだから、変に拒絶もできない。
しょーがないから先輩が飽きるまで付き合ってやることにしよう。どっちにしろ、俺に拒否権はないようだしさ。
「先輩、短編集とはいえ設定や世界観作りが必要なんじゃ。どんな設定にするつもりなんっすか?」
勝手に俺のペンケースからシャーペンを取り出し、大学ノートにガリガリと設定を書き始める鈴理先輩。
設定は既に決まっているようで「学園モノにする」とのこと。世界観はまんま自分達の学院が舞台らしく、より初心者でも書き切れそうな小説を目指しているらしい。まあ、俺も先輩も小説なんて書いたことないからな。書き切れそうな小説を目指す、という心意気は感心するべきところかも。
先輩の中ではある程度の構成が出来上がっているらしく、自分達カップルと、残り二つの攻め女と受け男カップルを盛り込むと得意げに言い放った。
「え?」俺は聞き直してしまう。
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