某俺様、萌えに想いを(前編)

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「最初からいちゃつくなんて無理だろうから、あんた達には宇津木ワールドをしっかりと勉強してもらおうと思う。世の中の腐女子を萌えさせられるよう頑張ってちょうだいな」    そんな無茶苦茶な。  着席している俺と大雅先輩は同じことを思ったに違いない。  ゲンナリしながら黒板に掲げられている『萌え』の文字を見つめる俺達を余所に、「んじゃまずは」何から始めよう、教卓につく超乗り気な川島先輩が助手の鈴理先輩に質問をする。  その姿はもはや宇津木先輩のためではなく、面白ネタを広げようとする愉快犯そのものだ。     ふうむ、顎に指を絡める鈴理先輩は「やはり世界を知るべきでは?」とご意見。  宇津木先輩が喜ばないと意味がない。それなりの世界や空気を醸し出してもらわなければ、頼もしくも残酷な一言を放つ我が彼女。鈴理先輩、俺はそのいやーんな世界を知り、空気を醸し出さないといけないんっすよ! 分かってます?!   「世界ねぇ。まあ、そうは言っても宇津木ワールドは男女版を野郎版に変えただけの世界観だし。あいつの好みの傾向としては……、俺様攻めでしょ。ということで二階堂、あんたは攻めね。ちなみに業界用語では“男ポジション”って意味だから宜しく。豊福は謂わずも受けね。いつも鈴理に攻められているから分かるっしょ?」  俺はべつに好きで攻められてるわけじゃないっすよ、川島先輩。     
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