その王子、危険につき、悪い子につき

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 俺の婚約者は男嫌いのボクっ子男装少女だ。  宝塚歌劇団に入れば、見事男役のトップスターになれる美貌とスタイルを備えている。王子と呼ぶに相応しい。  そして彼女は、本当に男だったら良かったと思う節がある。女の自分を嫌っているわけじゃないけれど、幼少の苦い積み重ねにより男だったら、と羨望を抱いている。  だからなのか。彼女の攻め方は非常に雄々しい。  そりゃあもう、男の俺が雄々しいねぇ。イケメンだねぇ。男前だねぇと思うのだから、彼女の恋愛に対する扱いは雄々しい。攻め女と呼ばれる所以でもある。  女性の部分を兼ね備えていても、なお、男性のように振る舞う。それが俺の婚約者だ。 「ツーペア。豊福の負けだ」  夜更け、自室として使用させてもらっている和室。  持っていたトランプカードを放ち、御堂先輩が歪曲に唇を持ち上げた。  きっかけは何だったのか忘れてしまったけれど、息抜き程度にと始めたカードゲーム。最初は無難にババ抜きから始め、ジジ抜き、戦争、スピードとゲームを楽しんでいた。勝敗は五分五分。勝ったり負けたりを繰り返していた。     
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