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「このまま続けたら、豊福はどうなるんだろうね。いずれ声が我慢できなくなり、理性が崩れていくのかな。それとも理性が優って、逃げることに成功するのかな。けれど君は熱が冷めないまま、悶える夜を過ごすんだろうね」
だってその未来では僕が隣で寝ているのだから、王子がじりじりと逃げ道を塞いでいく。
危険を感じ、急いで身を押しのけようとするけれど、「感じている君を見せてよ」その草食ぶった顔を早く取っ払いたい。理性が崩れ、本能で快楽を求めるぐちゃぐちゃな君を見たい。全部ぜんぶ目に焼き付けたい。
御堂先輩は獲物を捉えたような、細い目つきで俺を見下ろす。
「僕は見たいよ。君が快楽に流されまいと縋って、すべてに負けて流されていく君を。可愛いんだろうな。豊福って一度快楽を覚えたら、多分無意識に求めてしまうタイプなんだと思う」
覚えてしまったら最後、我慢の飽和点が下がるんだよ。彼女は俺の首筋を舐め、そっと口づけしていく。
もう体が疼く熱でどうにかなってしまいそうだ。冷ます糸口が見つからない。
「せん、ぱい」
「悪い子。まだ君の声は僕の物なのに。でも、ああ、そんな顔をさせているのは僕なんだね。可愛いよ。本当に可愛い。今、君を狂わせているのは僕だと思うだけで興奮するよ」
ほら、目を見て、もっと狂わせて。僕の手で狂わせて。
骨張った長い指が生えている手の甲が両頬を触れる。
抵抗、常識、学生、それらの二文字が霞んだ。
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