そのあたし様、獣につき、充電必須

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 女は攻めてナンボだと持論を掲げているのは、謂わずもあたし様のこと鈴理先輩だ。雄々しく男を喰らいたい。男を攻めたい。挙句の果てには、男ポジションを分捕りたい。  彼女の夢は常にでっかく物騒だ。  それに巻き込まれた俺のこと豊福空は、晴れて受け男としておんにゃのこな日々を過ごしている。ああ、勿論、ポジション的な意味で。  最初にキスを奪ったのは彼女。  恋愛の妥協(という名の諦め)を教えてくれたのも彼女で、人の性感帯を暴いたのも彼女だ。容赦の欠片もない攻め方に流され、いつの間にか、それを受け入れている俺がいるもんだから、もはや救いがない。本当に救いようがない。  俺はあたし様の強引な駆け引きに負け、気付けば心を奪われてしまったのだから。 「ふむ。空はどれも可愛い。一番を選べと言われたら、うむ……登校姿の空も良いが、寝顔も捨てがたい。食事をしている姿もそそられる。欠伸する姿も良いな。何が良いと問われると、やはり涙目のこの顔が」 「せーんーぱーい。何、本人を前に堂々と隠し撮りの画像を見ているんっすか!」 「馬鹿め。あんたはあたしの所有物だぞ。隠し撮りとは人聞きが悪いな」     
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