そのあたし様、獣につき、充電必須

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 俺には人権というものが存在していないのだろうか。  お行儀悪く歩き携帯をしている鈴理先輩に吐息をつくけれど、彼女は悪びれた様子もなく画像を眺めていた。  曰く、貴重な充電なのだと俺にそれを見せつけ、「アンタが早く食わせてくれないからこれで我慢しているのだ!」まんま言いがかりを飛ばしてくる。ひ、酷い! 俺はプラトニックラブを推奨したいだけなのに!  鈴理先輩は本能で生きているところがあるから、それじゃあ満足できないんだろう。俺も理解はしているつもりだ。一応理解は。  だから彼女のために譲歩しているところも沢山ある。それを、何故、彼女は分かってくれないのか!  しかも意味深に充電が切れそうだと言い放ってくるし。なんなのこのあたし様。 「先輩。本人がいるのに充電が切れそうって……」 「本人がいるからこそ充電が切れそうなのだよ。なにせ、我慢を強いられるのだからな。欲を抑えることに力を使い、充電が切れそうになる。分かるか? この意味。  はてさて、最近習い事詰めのせいでろくに空と会話していない気がする。今日、久しぶりに一緒に帰る約束を取り結んだが、二人きりになれるのはこの校舎のみ。迎えの車に乗り込めば、その時間もおじゃんか」 「…………」     
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