ひとつの甘さのなかで

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「馬鹿だな。僕等は婚約しているんだぞ? なんの問題もないじゃないか。まさか君が興奮して襲ってくるとか? だったらとても楽しいのだけれど」   その分、攻めて攻めて攻めまくって可愛く鳴かせるから宜しく。  ウィンクしてくる御堂先輩に俺はこめかみを擦って苦い溜息をついた。どうしてそういうことばっかりしか言わないんっすか? 貴方様って人は。片隅でさと子ちゃんはなにやら如何わしいことを妄想したのか、ボンッと赤くなって取り出した浴衣で顔を隠している。    「とにかく部屋を出ますから!」早く退いて下さい! 怒声を上げても、王子は何処吹く風。  「ヤダ」部屋にいてくれないと僕はまた拗ねるぞ! 先輩が戯けたことをほざいてきた。 「僕は帯を結んでもらいたいんだ!」 「さと子ちゃんがいるでしょう!」   「さと子もいいが、今は君がいいんだ。僕の彼女で嫁だし、それくらいしてくれても良いだろう?」 「か、彼氏で旦那になる男っすよ! ご自分でも結べるんですし、此処は妥協して下さい! さっきまで男嫌いを発揮していたじゃないっすか!」 「僕は君に結んでもらいたいんだ。あんまり我が儘言うと、さと子の前で公開プレイしてしまうぞ」  「え゛」石化する俺を押し倒して、「僕は構わないぞ」君の可愛い姿をさと子にも見てもらおうか? 王子が鬼畜発言を投下してきた。       
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