ひとつの甘さのなかで

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 い、い、嫌に決まっているじゃないっすか!  何が悲しくて情けなく攻められる俺の姿を友達に見てもらわないといけないんだよ!  いや数回見られたことはあったけど、あれは事故というかなんというか!   「だ。大丈夫ですよ!」  私はヘーキですから! 余計な気を回してくるさと子ちゃんがより一層浴衣で視界を隠す。  時折、好奇心が勝ってチラッとこっちを見てくる恥ずかしさといったらっ、いったら! 「さあてどうする?」  にこっと微笑んでくる悪魔に冷汗を流し、俺は生唾を飲んだ。分かっていたさ。王子に勝ち目など最初からないことくらい!    結局、   「わぁ。お嬢様、お胸、おっきいですね。下着も可愛い」 「そうか? さと子も、なかなかにありそうだが。下着は友人のお気に入り店で買ったんだ。今度連れてってあげるよ」    こうなるわけね。  はい、俺、可哀想。背後で繰り広げられる女子トークを耳になきゃなんない俺、超絶可哀想。居た堪れない度MAX。  この部屋にいる俺は変態? なら全部婚約者のせいっす。俺は悪くない!  御堂先輩の脅しに屈した俺は、男ぼっちの一室で壁と睨めっこしながら羊羹を自棄食いをしている。    彼女等を待たないのか?      
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