某俺様、萌えに想いを(前編)

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 あわあわする俺を余所に、「大雅!」此処は男を見せるべきだと鈴理先輩、エッロイことを言ってみろと握り拳を作る。  このままだとヘタレだぞ、二人に口を揃えられた大雅先輩だけど、彼はやっぱり動かない(どう動けばいいのか分からないようだ)。一体何をしているのだとアジくんが質問を重ねてくるもんだから、俺はかくかくしかじかで説明。  つまりこれこれこういうわけでこんな事態になっているのだと項垂れる。  事情を把握したアジくんは、宇津木先輩を喜ばせるシチュエーションを作ればいいのかと手を叩く。  刹那、俺の両肩に手を置いて真顔で俺を見つめてきた。 「じゃあ空……、シチュエーションに便乗して気持ちを伝えてもいいよな」 「え、ちょ、アジくん」 「実はさ、今まで言えなかったんだけど俺はお前のことが。分かってるんだよ。お前に彼女がいることくらいさ……。相談にだって沢山乗ってきた俺だけど、本当はずっと俺だけを」  見て欲しかったんだ、言葉と一緒に抱き締めてくる。    ちょ、え、ええぇえ?!  大混乱する俺の肩口に顔を埋めるアジくんは絶句している俺達を余所に、今しばらくそのまま静止していたけど、バッと顔を上げて「こんな感じか?」やってやったぜという顔で爽やかに笑う。    ま、ま、マジ告白されたかと思ってビビった。     
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